2019年度
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非平衡ダイナミクスセミナー
講演:下川 倫子(福岡工業大学)
題名: 沈降する液滴の分裂個数におけるモード選択
場所: 理学部C棟 C141教室
日時: 6月24日(月)15:00-16:30
概要
粘性流体中を沈降する液滴は沈降過程で渦輪に変形し、渦輪の不安定性により自発的に分裂することが 知られている[1]。近 年、我々は 分裂を促す渦輪の不安定性においてレイリーテイラー不安定性が重要であることを実験で示した[2]。今回は分裂個数を決定する 物理量を明らかにすることを目的とし、実験を行った。二流体の密度差, 粘度, 液滴半径を変化させ、分裂個数の確率密度を調べたところ、同じ条件で実験を行ったにもかかわらず分裂個数はばらつく。Turnerの理論[3]に従い渦輪のサイズが成長す ると考え、その時間での半径で起こるレイリーテイラー不安定性の成長率を計算すると、実験で測定された液滴の分裂時間で最大成長 率を もつ 不安定化波数を計算できる。分裂個数に関する頻度分布の平均値を重力不安定性を外力として含んだナビエストークス方程式の無次元化により 導出された無次元量で整理し、実験結果と比較すると、実験とよく一致していた[4]。以上の結果は、液滴の分裂個数の決定におい て、 渦輪 の成長と重力不安定性の効果が重要であることを示す。本研究は坂口英継氏(九州大学)との共同研究である。
[1] J. J. Thomson and H. F. Newall, Proc. R. Soc. London 39, 417 (1885).
[2] M. Shimokawa, et al., Phys. Rev. E 93, 062214 (2016).
[3] J. S. Turner, Annu. Rev. Fluid Mech. 1, 29 (1969).
[4] M. Shimokawa and Hidetsugu Sakaguchi, Phys. Rev. Fluids 4, 013603 (2019).
集中講義
講演:高見 利也(大分大学理工学部共創理工学科知能情報システムコース教授)
題名: 非平衡ダイナミクス特論「楽器の物理学」
場所: 理学部C棟 C141教室
日時: 6月17日(月)~6月19日(水)
概要
音に関する物理学、特に、楽器の発音機構と、これらに関連する物理現象について講義する。まず、基礎的な振動・波動現象の復習をしたのち、常温・常圧 下での音波の性質を解説する。次に、様々な種類の楽器(本講義で扱うのは、 弦楽器、打楽器、金管楽器、エアリード楽器)について、順に、関連する物理 現象を確認した上で、それぞれの発音の仕組みを解説する。また、発音機構の 分析から得られたモデルを計算機で数値計算し、各楽器に特徴的な音の再現を 試みる。音と楽器の研究は、19世紀のHelmholtzやReyleighの時代から長い歴 史があるが、教科書的な内容にとどまらず、最近の研究動向まで含めて解説を 実施する。
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奈良女子大学,
物理科学科, 非平衡ダイナミクス研究室
Since April 1 2014
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